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Radiohead好きに悪い人はいない~個人的好きな曲を7つ紹介~

Radioheadを聴いている。最高だ。音楽はクラシックでもジャズでもロックでもいずれにせよ気分を高揚させてくれたり落ち着かせてくれたりする。しかしRadioheadを聴いているとなんとも表現しようのない感情に包まれていく。ポジティブでもなくネガティブでもないような不思議な感覚だ。落ち着かせてくれるという表現もおかしいかも。浮世離れという感覚が近いのかもしれないが説法というほどに高尚なものでもないしうーん。日曜日の昼下がりにLetdownを永遠とリピートしていたらそんな奇妙な感情に支配された。
 
Radioheadとはいったい「何」なのだろうか・・・
 
はじめにあえて外見の話をしてみる。トム・ヨークはキリストに似ているように僕には見えた。キリストを見たことは当然だがない。しかしDaydreamingのPVで長髪に髭をたくわえ歩くトムヨークの姿はそれほどに神々しい。キリストが十字架に貼り付けにされて受けた絶望を考えればきっとトムヨークのような目をしているのだろうなと想像してしまう。宗教的と言ってもいいかもしれない。
思い返せば20世紀のオルタナティブロックのアーティストはみな外見的な面でいえば宗教的だったように思う。ニルヴァーナのHeart shaped boxのPVに出てくるやせほそって十字架に貼り付けられたおじいさんもキリストを模したものかもしれない。
 
カートコバーンもどこかトム・ヨークに雰囲気が似ている。ビョークシガーロスBECKなんかもジャケットやPVを見るとどこか宗教的な側面が強い。個人的にはThe Smithが最も神に近いと思うのだがRadioheadの話に戻そう。
Radioheadは神なのか?個人的には全面的に肯定したいのだが神というにはあまりにも俗っぽいし曲調の変遷が激しい。OKComputerで失望した人もかなりいた。最も有名な曲であるCreepの歌詞にしてもあまりにも劣情に寄りすぎているような気がしないでもない。letdown, No surprises, carma policeなどの歌詞やメロディーもかなり絶望的。
去年発売されたA moon shaped poolはほとんど絶望でしか構成されていない。プリントアウトして病院に持っていったら間違いなくうつ病と診断されてしまうような欝々としたものであるがしかしその絶望がどうしよもなく、好きなのである。
 
 
レディオヘッドを好きな人に悪い人はいない
使い古され手垢にまみれた言い回しである。「○○を好きな人に悪いやつはいない」。そんな簡単にカテゴライズするべきではないだろうとも思うがしかし、「Radioheadを好きな人に悪いやつはいない」はけっこう本気でその通りではないだろうか。Radioheadの曲はけっして教育的でもないしきれいな世界で構築されているわけでもない。しかし虚構に彩られた曲とは隔絶した正直さがある。絶望に同居する正直さをRadioheadの曲に見つけた瞬間からRadiohead好きはみな善人だと思っている。なにかの本で読んだ記憶がありタイトルは忘れてしまったのだが悪人の定義に「卑怯な弱者」と「傲慢な成功者」といった趣旨の文章を読んだことがある。卑怯な弱者は弱者を正当化しようとして攻撃的になり卑屈になる人で、傲慢な成功者は自らを信じ切っている自信家のことと。
Radioheadは精神の在り方としては弱者の側であるのだが卑屈とはいえないのだ。弱者の精神の昇華方法を歌う。そこに共感できる人に悪い人はいないと、確信している。
 
個人的に好きな曲
悪い人はいないと思うのだが気難しい人はいるRadioheadファンに向けて曲を紹介するのは大変に恐れ多いのだがランキングにするのはやめてただただ好きな曲を列挙していくよ。順不同
 

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Anyone can play guitar
はじめてPablo honeyを聴いた時にRadioheadにはまるきっかけになった曲
High&Dry
歌詞がすごい。いやメロディーもすごいのだがRadioheadここにありという歌詞。今の言葉で言えば「非モテコミット」に分類されるんだろうけど悲しみを背負っても純愛を捨てない矜持ってやつが最高にロックだ
 
Lucky
OkコンピューターはBGMとしてよく聴いているのだがなぜか最高に集中できる曲。
 
Prove yourself
パブロハニーより。若さの残るRadioheadによる自己存在の闘争。「I」がここまで歌詞にくみこまれてる曲は他にないんじゃないかな。かなり聴きやすくもあるので人にすすめるにはおすすめの一曲
 
There, There
邦楽洋楽クラシックからジャズ問わずイントロだけでいえば全楽曲で最も好きな曲。イントロが強烈すぎてはじめて聴いた時に3秒でやられてしまった
 
Fake plastic trees
Radiohead全楽曲の中で最も好きな曲。かなり哲学的。これほど感情的で抑揚のないメロディーと声が他にあるのだろうか・・・
 
let down
記事を書くきっかけになった曲を紹介。聴きやすくて一時間ずっとリピートしてたら頭がふわふわした。
 
Creep
最後になりますがRadioheadといえばCreepを外すわけにはいかない。アドラー心理学に真向から対立する劣情を歌う。曲の中でらああああぁああぁんと叫ぶフレーズがあるが後にも先にもここまでトム・ヨークが叫んでいるのはCreepだけではないだろうか。
 
こう書くと昔の曲ばかりになってしまった。最近の曲はそこまで聴き込んでいないので昔の曲を中心に。pablo honeyやOkcomputerにThe Bendsに収録されている曲はもうすべてもれなくいい。Lotus flowerとかDaydreamingとかも遜色なくいいのだが思い出補正ってことで。
こうして単発で聴くのではなくRadioheadはアルバムとして聴くと曲想がかなり違ってくるのでもしこれから聴くよって方がいればまずPablo honeyからアルバムで聴くことをおすすめします。
Pablo Honey

Pablo Honey

 

 

救いの音楽としてのRadiohead。哲学としてのRadiohead。文学としてのRadiohead。絶望としてのRadiohead。感性としてのRadioheadRadioheadを聴いていると日常生活では見えないがたしかに大切ないろんな感情が湧き上がってくるのがわかる。
Radioheadはやはり、最高だ。