メロンダウト

メロンについて考えるよ

小太りのガキが走ってきた

雨が降っていた。雨は好きだ。帰り道。いつも通りの帰路につき、いつもどおりの道を歩いて帰る。傘はささない。携帯しているレインコートをはおる。雨の音は心を落ち着けてくれる。臭いも音も気配も水に流してくれる。そんな気がする。

コンビニにたちより炭酸水を購入する。レモンサワー用のストックがなかった。鬼滅の刃の22巻が発売していたのでついでに購入する。

「袋はいりません」と、丁重にお断りし、愛用の防水リュックに入れて再び帰路につく。相変わらずの雨だ。

コンビニからすこし歩き、いなげやの前を歩いているとなにやら小太りのガキが走ってきた。黄色いTシャツに半ズボン。小学4年生ぐらいだろうか。友達は傘をさしているのに小太りの黄色いガキだけが傘を持っていなかったようだ。急いで走る小太りのガキのお腹が上下に揺れていた。その姿がとても愛らしかった。いまどきあんなまんじゅうみたいな体型したガキがいるのかとしばし考え込むほどの丸さであった。とてもおしゃれとは言えない黄色いTシャツにこの寒い中の半ズボン。雨の中、傘を持っていない間抜けさもその走り方もいなげやの前という場所もなにもかもが完璧に愛くるしかった。

人は思いもよらないものに感銘を受ける時がある。小太りのガキが走ってくる。ただそれだけのことが思いのほか衝撃的だった。

家につき、レモンサワーを飲みながら、僕は小太りのガキのことをずっと考えていた。