自転車の反則金が強化されることになっていろんな意見が出ている。車道走行の危険性について指摘する声が大きいけれどどのぐらい危険なのか原付に乗っていた経験からすこし書いてみようと思う
僕はもともと原付というかHONDAのZOOMERが好きで長いこと乗っていた。カスタムするのが面白くていろんなパーツを買い集めたり他の車種のライトを載せてみたりして遊んでいたのだけど今はもう乗らなくなってしまった。乗らなくなった理由としては単純で50ccの原付は本当に危険で道路を走っていると命の危険を感じるような経験が数えきれないほどあるからだ。
50ccの原動機付き自転車の法定速度は30km/hで、このスピードだとロードバイクよりも遅いため、実際にはメーター読みで40km/hから50km/hで走ることが多いのだが、50km/hで走っていても車はどんどん追い越しをかけてくる。そして追い越しをかけてくる車のほとんどが同車線で追い抜いていくうえ、中には側方距離をほとんど取らずに無理やり抜いていく車が珍しくなかった。
バイクは基本的に車道の左側を走ることが推奨されているのだが、実際に左側に寄せて走っていると道を譲っていると思う車が多いのか追い越される回数が増え、結果としてバイクに乗っている人の危険が増すようになっている。なので中型以上のバイクに乗っていても車道の左側を走るか中央を走って追い抜かれないようにするか賛否が分かれている状態だ。中型以上のバイクであればスピードが出せるため道路の流れに乗ることもできる。しかし原付はスピードも出せないうえ、あくまで自転車と同じ扱いになるため左側をはしってなければいけないのだがそうすると上述したように車が追い抜いていくことになりヒヤッとする場面に出くわす回数が増える。
僕が経験した最悪のケースだとトラックに煽られたことがある。一車線の道路で歩道もない道路だったため脇に寄せることもできず、反対車線も車が走行していて後ろからトラックが煽ってくる。本当に危なかったのでやり過ごした後に警察に通報したのだがドライブレコーダーの映像もなく、当時はあおり運転が社会問題になる前だったせいか取り合ってもらえなかった。
結論としてはもう原付で道路を走るのはやめるしかないとなって乗るのをやめてしまった。なので僕のズーマーは実家で眠っている。
今回、自転車の歩道走行に罰金が課されることにより車道を走る自転車の数が増えることになるのは明らかであるが、原付でさえ危ないので、原付よりもスピードが遅く不安定な乗り物である自転車が車道を走ったら間違いなく死亡事故が増えることになる。
僕個人の意見としては自転車は歩道を走るべきだと思うのだ。歩行者にぶつかるのが危険だという意見があるのも理解するが、自転車が歩行者にぶつかっても多くの場合、ケガで済む。比べて車が自転車と接触すれば大けがは免れないうえ、亡くなってしまう確率も少なくない。バイクの事故が重大なものになりやすいのと同じように自転車が車道を走るのは甚大な結果を生んでしまう。結果の重大さを考えると自転車は歩道を走ったほうが良い。というかみながそういう理性的な判断をした結果が今の状態(自転車の歩道走行)ではないのだろうか。
ネットでは自転車が歩行者に突っ込む映像が拡散されそれを非難する声があがったり、最近ではテレビのニュースでも扱っていたりする。そうしたセンセーショナルな報道に触れ厳罰化を求める声が増えるのもわかる。スマホのながら運転、イヤホンの装着、信号無視、一時停止違反は厳罰化してかまわない。ただ歩道走行の厳罰化だけは駄目である。原付ですらまともに走れない今の道路事情を考えるのであればまずやるべきは以下の4つである。
・車がバイクや自転車を追い越す時の速度を制限すること
・追い越す時に側方距離を取らない車の取り締まりを強化すること
・側方距離が十分に取れない幅の狭い道路では追い越してはいけないようにすること
・国道などの二車線以上ある道路では追い越し車線に入らなければ追い越してはならないようにすること
こうした規制をまず車に課してからであれば自転車が車道を安心して走れるようになる。そのうえで歩道を走行していた場合に反則金を取るのが良いのではないだろうか。
バイクに乗っていると車道は車が走るものと勘違いしているドライバーが数多くいることがわかる。その独占的地位をまず解消してから自転車が車道に入る余地ができる。そのプロセスを踏まなければいくら厳罰化して自転車が車道を走っても車道への侵入者として排除されるだけではないだろうか。