メロンダウト

メロンについて考えるよ

2017年買って良かった小説、哲学書、漫画

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 恐山~死者のいる場所~

けっこう前に出版されていた恐山院代をつとめる南さんの本。

恐山で人は何を見るのか、何を探すのか、死者を探す生者、死者が「在る」場所。 

中盤あたりに出てくる恐山に訪問して南さんと対話することになった50代の女性の話が最も印象深かった。というか読んでて泣いた。

 

大黒柱だった父によって教育されてきた娘。強かった父。父に従った人生。認知症になって弱って亡くなった父。どうしてよいかわからなくなる娘。父を探しに恐山へ。

「つまり今日あなたかお父さんを探しにきたのですか?・・・」

泣き崩れる女性。50年分の涙。情景がくっきりと浮かんでくるようなそんな感じがした。

 

他にも南さんならではの仏教的な世界観。資本と生の構造なども書かれている。

しかも文章がめちゃくちゃうまいので一日で読めてしまう。正月休みなどで実家に帰ったあとなど読むと響くものがあると思う。

恐山: 死者のいる場所 (新潮新書)

恐山: 死者のいる場所 (新潮新書)

 

 

 

 

オリガ・モリソヴナの反語法

 いつだったか京大書店員さんの記事がはてブにあがってきて絶賛されてたので買って読んでみたら信じられないぐらい良かった。

なんというか感想が思いつかない。言葉にしにくい。これぞ小説、というと陳腐に響きますが個人の人生をここまで描き切るかという感動がある。

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)

 

 

 

中動態の世界

能動態、受動態だけの世界は言語から来ていてそれが諸々の問題になるのが主題(と僕は読んだ)。中動態のなさは本の中でハイデガーが書いていたことにも通じると書かれている。ハイデガーがあえて難解な言い回しを使い何を言いたかったのか。言外の言語化。

「放下」で何を言おうとしたのかわかりやすく書かれている。自分もハイデガーの本は読んだことはあるのですけどほとんど理解できなかった。けど國分さんの本はけっこうわかりやすい。

 

それでも僕はおそらく中動態の世界の半分も理解できていない。そしてハイデガーの本に至っては理解できる部分が2割程度。

能動態でもなく受動態でもなく中動態。そこになんというか境地みたいなものが存在するのかは、自分にはよくわからない。再読必須。

 

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)
 

 

 

 

ゲンロン0~観光客の哲学~

東浩紀さんの渾身の一作。

哲学書という枠組みではあるのだろうけど読んでいると自己啓発のような感覚を覚える。通常の自己啓発は本によってなにかを与えられる感覚があるがゲンロン0は自発性そのものに食い込んでくるようなそんな本だった。観光客的生き方が新しい近代の生き方として描かれているけれど、自分は観光客に「立ち戻る」ような印象を受けた。それぐらい普遍的でなんというか心に根差すものがある、ゆえに思想書としてはめずらしく感動を覚えた。

観光客(という希望)の哲学。

内容としてはヘーゲルフロイトドストエフスキーなどを引用しながらそれらをアップデートしていく形になっている。内容は哲学であるがかなり読みやすく書かれている。読者が論理の前提を忘れそうになるところで反芻してくれているので再読したりページを戻らなくても理解できる。

ゲンロン0 観光客の哲学

ゲンロン0 観光客の哲学

 

 

 

 響~小説家になる方法~

一人の女子高生小説家、響のお話。純文学を書き純文学的に生きる小説家という設定なのだが設定自体はうーんといった感じ。作中では響が日常生活の中で純文学的に我を通していく場面が多々ある。恐れがない人間のかっこよさはヒーローものに近い。

小説家になる方法というよりもロックンロールだなこれは。ピストルズとかRATMとかが似てる。

 

ロックな格闘漫画。天才インフレヒーロー女子。

小説の話というより日常の中で我を通していく響がただただ痛快。 面白い。

 

 

 政治的なものの概念

やまもといちろうが駆使している友敵理論について - メロンダウト

自分のブログより抜粋

それぞれに敵を設定し批判することによって友があつまり権力が生まれます。非モテはどこかで(モテるようになると友が裏切られたと感じるかもしれないから)モテるようになりたくない気持ちを持ちます。意識低い系は意識高く生きるのが恥ずかしいなんてことを思う。シュミットの理論でいえば友敵を区別しその闘争にアイデンティティーを見出し権力を意識する点では人々はすべからく「政治的なる」と言うことができます。

 

正直読み切れていない部分がある。 難しい。難しいが興味深い。

上記ゲンロン0の中にもカール・シュミットは引用されています。独裁者はいかに理論的、哲学的支柱を得うるのか。そして独裁者は悪なのか。そんな「そもそも」の概念について。そして友敵理論が近代にも直結する前提として存在すること。

政治哲学では必読の古典。再読します。

政治的なものの概念

政治的なものの概念

 

 

 

夜と霧

たしかusausamodeさんがおすすめしてた本。

ナチスの大量虐殺の実態が克明に描かれている。巻末には実際に死体になり遺棄焼却される人々の写真も載っている。

読んでいて戦慄しかなかった。あり得ない方法で人体実験される人。衰弱した人間の目がいかに絶望的な闇を語るか。地獄だとしかいいようがない。人間は残虐である。これは100年も前の話ではない。人間は残虐になる。

ナチスドイツの医療が先駆的だという人がいたりするが夜と霧を読んで医療実験にさらされた人の非人道性を知ってから言ってほしい。こんな医療なら僕は、いらない。

夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録

夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録

 

 

 了

良いお年を(*^▽^*)

お酒飲むぜ。飲むぜ飲むぜ飲むぜ。

強者しか声をあげない、か・・・

グレートすぎる。

fnoithunder.hatenablog.com

 

 MeTooするほどの強さを持てないヤツ、つまりほとんどのヤツは、その場にとどまって戦う道を選ばざるを得ない。MeTooは現状、現場で苦しむ人間の逃げ道としては機能しない。 そりゃ、幾ばくかの勇気と希望を与えることは出来るのかもしれないが。でも安易に乗ってしまえば、その後に待っているのは絶望だけかもしれないのだ。ミクロとマクロ、現在と未来、理想と現実をごっちゃにし、曖昧にしたままMeTooを語るのは無責任ではないだろうか。

 

悪いヤツらをぶちのめすには、ヤツら以上のパワーを持たなければならない。そしてもしそんなパワーがあったなら、最初からパワハラなど受けない。

 

MeTooってのはきっと、弱いままでも生きていける、やさしい世界、を目指しているのだろう、とは思う。だけど。その理想は素晴らしいけれど。それはあくまで、将来がそうであるように、ということであって、現実はそうではない。

 

 

グレートすぎる記事をふのいさんが書いていたので紹介

でこの記事でやりたいことはおおむね終了なのだがそれだけだと記事として成立しないのでふのいさんの記事を読んだ感想をすこし。

年末だし、本当にすこし。

 

 

 

 

ふのいさんの記事はなんというかつまり論理的原理と人間的原理みたいな話だと読める。パラダイムの絶望的断絶みたいな。自分はそう読んだ。

metoo運動が論理によって人が動くと考えられているいっぽうでふのいさんの記事は人間はそんな簡単なもんじゃねーよっていうツッコミだ。

現実と対峙するとは、とか。理想を語る(metoo運動)ことが抱える加害性、とか。二律性。感情の功利。裏と表しかないコインは振らないほうがいいんじゃないか、とか。

 

ふのいさんは自然の摂理って言葉を使っているけど人間の原理というか真なる多様性とは何かとかそんな話に読める。

 

metooは強者しか救わない。従来的な意味での強者に代わる強者が告発しているだけでそこが本質的な問題ではない。

従来のマッチョイズム的世界観が正義、自由、ネット的作法とかにとって代わるだけで強者が入れ替わるだけ。その変わった世界でも弱者は弱者なのか。じゃあ弱者が望む世界はなんなのか。地獄だと自覚しながら戦うことしかないじゃないか。そこに多少のいさかいは生まれ得ると書かれていた。

パラダイムシフトしても弱者は弱者じゃないか。

 

まったくの同意でしかない。

 自分もスクールカーストのようなマッチョイズムには適応できなかったし、かといってネットで醸成されているような正論重視の漂泊社会にも適応できない。

おそらくこの手の問題は規範そのものが存在すること自体が抱える矛盾なのではないかと思う。

前々回の記事でも書いたように社会からカオス空間を排除していってすべてを問題化していることが問題じゃないかと。

それが絶対的弱者を救わない、と。

 

この話ってセカンドハーベストジャパンっていうフードバンクをやっている会社を創設した人が言っていることとつながる。

news.yahoo.co.jp

ホームレスなどに食料を提供している会社なんだけど食事を提供している側、提供される側という立場をつくるとうまくいかないみたい。だから食料は勝手に持っていってよくて感謝を強制しないということを言っている。

 

この無決定のなかにこそなにか救いみたいなものがあるとふのいさんの記事を読んで思い出した。

 

とにもかくにも良いお年を。

ビットコ ビットコ ビットコなー(あソーレ!)

まずは貼っておきますね

 

ビットコ音頭

ハーァ ビットコ ビットコ ビットコな~ (あソーレ!)

ビットコ ビットコ ビットコイン (ハイ!)

 

 

ビットコインに興味が出てきたので調べてみたのですが絶対に買わないほうがいいと思いました。

今から買い始めようとかいう人がいたらやばすぎるのでビットコインは絶対に買わないほうがいい。

理由を書いていきます。

 

 

税制がやばすぎる

ビットコインの税制は雑所得扱いらしい。これだけでもうリスク算定としてはアウトと言っていい。

通常の投資、たとえば株式や為替の利益は売却損が出たら損益通算して繰り越し控除される。たとえば今年200万利益が出ていたとしても去年100万損していたら損益通算で納める税金は100万の20%で済む。20万円ですね。

 

いっぽうビットコインは雑所得なので純粋に利益のみに課税され繰り越し控除もされない。前年いくら損していようが関係なくその年の損益によって税金が確定される。損失は純粋に損失でしかない。

課税額も株やFXの20%ではなく所得税の累進性が適用されるので純粋に高い。

 

株やFXが投資として考えることができるのは税金がかかっても損失と利益をトータルした総計に税金がかかってくるので純粋に期待利回りへの課税となる点にある。つまり株式やFXの税金は繰り越し控除があるので損益、勝ち負けを決定する要因にはならない。

いっぽうビットコインはじめ仮想通貨は損益ではなく利益のみに課税される。損益を決定する要因となる。これがやばい。

 

通常、投資の利回りは年で5%もあればいいほうだけど、仮にビットコインを利回り5%で運用すると期待値的には確実にマイナスになりそう。

 

この税制を超える期待値で投資しつづけられればいいが投機対象であるビットコインは値幅の変動が激しくロスカット等を食らった時の損失が大きい。ゆえに繰り越し控除のないビットコインの税制は痛すぎる。

 

ゆえにビットコインは買わないほうがいい。

【ビットコイン税務】国税庁タックスアンサーでの仮想通貨取引課税の明確化 | ビットコインの最新情報 BTCN|ビットコインニュース

 

 

 

1000人で4割のビットコイン保有

営業利益がない株式としてのビットコイン

 

なぜ株式が発行されて機能するのかはその会社が存続して営業して利益を上げていく「だろう」と信用されている点にある。簡単に言えば上場ゴールで潰さないだろうと考えられているから株式が発行され買われる。営業利益が出ている以上は株式がどうなろうと会社を存続していくメリットはあるのでそれが信用になってその会社の株は買い支えられる。

また社員や顧客の実態的な生活もあるので会社をつぶさないで運営していくことも信用として数えられる。

通貨はいわずもがな国の経済は破綻しないという信用に通貨の価値がある。

 

 

しかしビットコインビットコインとして存続していく理由がないんですよね。仮にあったとしてもわからない。

「代替通貨として世界中で使われるようになるのが夢なのでビットコインは破綻させない」と創設者が言っていれば別ですがビットコインをつくった人は雲隠れしているようです。

会社のような営業利益の構造が信用になるわけでもないし日本円のように国として機構化され保障されたものでもない。ビットコインが買われている理由はみんなが買っているから以外にいまのところ理由がない。

 

またビットコインは発行当時に保有していた1000人が総ビットコインの4割を持っている。その点からしても通貨発行益目当ての可能性がけっこうある。

 

株式会社の執行役員が同じように株を何割か持っていることがありますがわけが違うんですよね。彼らは会社を乗っ取られないために株を持っている。

しかしビットコイン保有している理由はない。

ビットコイン保有数によって議決権が与えられるわけでもない。彼らはビットコインを手放しても痛くもなんともない。

 

同じように仮想通貨を発行している業者がかなりいるみたいだしビットコインは通貨発行益目当ての新しいビジネスモデルか何かではなかろうか。ビットコインはたまたまヒットしただけで特別変わった点があるわけでもないし。

 

 

まとめ

すべての通貨は仮想であれどビットコインには仮想たる「実地的根拠」がない。さらに総ビットコインの4割を保有している1000人には買い支える保障がない。

ゆえにビットコインは買わないほうがいい。

 

 

仮想通貨発行益やバブルにあやかりたいならマイナーな仮想通貨を少額ずつ買ったほうがよさそう。けど税制がなあといった感じ。

結論としてビットコインを買うつもりはないけど仮想通貨は買うか考え中。

 

お金欲しい(小並感