パチンコ台の価格はいくらだか世間的にはあまり知られていない。
一般の流通に流れて市場競争にさらされるわけではなくパチンコメーカーとパチンコ店の間だけでやりとりされるものだからあまり批判の対象にもなりにくい。
新台で買えば1台40万円以上というけっこう法外な値段だ。
たとえばパチンコの海物語という台。中身はほぼ変わらないのに新台として出るたびに40万円×購入台数分の売り上げがメーカーにわたる。
もちろん新規に制作すれば開発費などがかかるので一概に法外な値段だとは断定できないだろうが画像を見てくれれば誰が見てもほとんど同じ台を出していることがわかるだろう。
これらの画像。一見すると全て同じに見えるがよく見ると水着の色が違っていたり魚の形が違っていたりするが構成は全く一緒である。
すべて違う機種であるのだがこれらが出るたびに一台につきパチンコ店はメーカーに40万円ほど支払っている。
海物語ほどの主要機種になれば全国でだいたい2~3万台ぐらいは売れるので売り上げは100億を超える。こんなただ水着の色を変えただけのものがだ。
これほどボロい商売を僕はほかに知らない。もはやメーカーの人の努力がどうのこうのなんて定量的に判断するレベルではない。ボロすぎる。
水着の色を変えるだけの機種ひとつで総工費140ガンバのスタジアムと同等の売り上げがある。
おそらくパチンコを知らないだろう人は単純に疑問に思うはずだ。
「じゃあ買わなければいいじゃん」
そう単純な話ではない。台そのものと同様にマーケティングにも寡占業界ならではの異常性がある。パチンコホールはパチンコメーカーから台を買っているというよりも取引をしている関係で単純な需給関係で結ばれているわけではない。
パチンコ業界には機歴という言葉がある。パチンコ店が機械を購入した履歴によって新台を導入できる日が決まったり安く購入できたりもしくは機械そのものが購入できなかったりする。
パチンコの新台というものはかなりの水物で導入初日と二日目では客の滞留の仕方が全然違ってくるので店側としては新台を購入するなら一日も早く購入して客に来てもらうようにしたい。
しかし機歴により発売初日に導入できないことがある。こうなると近隣の競合ホールに客が流れていってしまう。
それでも客に喜んでもらおうと遅れて導入すると新台の費用対効果は激減しているので40万円という価格は法外どころかもはや犯罪的なレベルになる。
しかし台を売ってくれなくなればパチンコ店は潰れるしかないので外枠だけ変えただけで中身が何も変わっていない機械を法外な値段で買うしかないのだ。どれだけ導入が遅くなろうとも、客が打ってくれなくなろうともだ。
そんなメーカーの強権に嫌気がさしたのかなかには中古機だけを購入してやりくりしていたホールもあったが僕が知るかぎりそういった優良ホールは全て潰れた。
残ったのはメーカーもホールも大手資本ばかりで新台を法外な値段で購入しても償却してくれるだけの重度依存患者をたくさん抱えているホールばかりになった。
ブランディング戦略がうまいだけで実がない、まったく出さないホールばかりだ。
パチンコにはすくないながらも文化的な面があった。
パチンコが文化などと言えば人は鼻で笑うだろうがパチンコが嫌いな僕でさえネオビッグシューターやたぬきち君などには趣を感じることがあった。
趣味として成立していたパチンコはもう文化的にも資本的にも死滅した。どちらかでも残っていれば僕もまだ打っていただろうに・・・
ダブルリーチが外れた気分だ。