墓に花を供える。
認知症と糖尿病で亡くなったおばあちゃんの墓。
死に際には自分の名前も覚えていなかった。
線香の匂いを嗅ぐと小さいころ一緒に寝ていたことを思い出す。
優しかったのは僕が孫だったからか、おばあちゃんの性格か、いまとなってはわからないしどうでもいい。外面というものを見たことがなかった。記憶にあるおばあちゃんは家で車椅子に乗っている。
おばあちゃんは優しい。現在進行中、である。
死者が最も優しい。
思い出だけが裏切らない。
死者が最も優しい。
生者との関係はピーキーだ。
死者が最も優しい。