不動産改革なんていう政党があればなにを置いても投票したいぐらいに思ってるのだけど。
経済の状態を政治的に論じる時、僕たちは非正規や最低賃金などの労働形態の問題を語りがちだ。どの政党もそうだ。政策としてできるのは消費税の減税、最低賃金の上昇、正規雇用の拡大、格差の是正だけだと思われている。
金融政策においても株価を刺激してトリクルダウンしようや金利をさげて通貨が流通するようになればいいとみな言う。
これらも重要だと思う一方でそんなに重要なことなのかといった違和感も同時に持ってしまう。例えば最低賃金に関してもれいわ新選組の政策にあるように1500円になったとしてそれで実態的にどのていどの効果があるのだろうか。賃金が低いことが貧困の原因だから賃金をあげるのは重要だが時給1000円が1500円になったとしても「それほど変わらない」だろう。せいぜいスーパーの値引きシールを見ないで気兼ねなく購入できるようになるぐらいの話である。最低賃金は確かに問題だが非正規がなぜ問題なのか考えていないように見える。
そもそもなんで非正規が問題かと言えば非正規は職業上のキャリアとして得るものがない仕事の場合が多いからだ。工場のライン工にしてもコンビニのレジ打ち、スーパーの品出しにしても何年やってもたいして得るものがない。スーパーの品出しがキャリアパスとして機能するなら時給1000円でも充分なはずだが実際は何の役にもたたない。
それでもやっているのはお金がないから生活できないからに違いない。そしてなんでお金がないと生活できないかと言えば食べて、住むためである。
食べることに関してはもう充分すぎるほど日本は豊かになった。その気になれば1万円以下で毎月暮らしていけるだろう。しかし家賃はそうではない。
東京では普通のワンルームを借りるだけでも月6万円からかかり、初期費用はその何倍もする。すこし大きな部屋がほしいともなればゆうに10万円以上かかる部屋ばかりだ。限界集落のようなところに住むでもないかぎり地方でも月3万円以下で家賃をおさめるのは難しい。
家を購入するにも地方ですら地価が高すぎて正規社員の給料ですらやすやすと手がでるものではない。非正規ならなおさらのうえ住宅ローンを組むことも難しい。
非正規の給料1000円で考えれば月6万円の部屋に住むためだけに毎月60時間(1日8時間労働として日数にすると1週間)なんの役にもたたない労働をしなければいけない。そのうえ食べて着て年金、保険料、住民税などなどを支払いながら最低限の文化を維持しつづけて、そのうえ正規社員になるための自助努力などできるわけがない。
じゃあ住まないという選択肢をとるとなるともっと莫大な生活コストがかかることになる。ネットカフェやカプセルホテルに住むにしても洗濯機を1回まわすのに100円、料理ができないので高額のコンビニ弁当を食べ、物を置く場所がないのであらゆるファシリティーが用意できない。だから非正規でも家賃を払って部屋を借りて住むしかない。
労働の対価としての給料が低いことも確かに問題だが生活するうえでのコストのほうも問題だという単純な話だ。お金は稼いでも使えば残らない。あるいは残るほど働けば働くだけになってしまう。
だから貧困を住まいから考えて改革しようという政党があればぜひ投票したい。具体的にはわけのわからない文化である礼金の廃止、居住権の条件的緩和などだが
もっとドラスティックに今同時に問題になっている空き家を政府が買い上げて貧困層に無償で与えるなどしてもいいぐらいに思っている。私的財産ではなく無条件の住環境としてではあるが。生活保護のように審査を経ての住居ではなく、非正規や年収200万以下世帯の公的住宅としてある程度自由に住める場所ができれば非正規の生活コストによる問題もかなり少なくなるはずである。
非正規だけでなく正規社員に関しても良い政策である。平成のテレビドラマに出てくるような「家族もいて住宅ローンも何巡年も残ってるのにクビになったらどうすんだよ」みたいな話も解消する。
将来的にはそれが推移してベーシックインカムの前に国民全員がそれぞれ住む家を無償で得るようにぐらいなればいい。団地や集合住宅の一室でいい。家賃無料、共益費月3000円程度で住めるようになれば労働問題のほうもある程度は解決するだろう。
家賃がいらなくなれば今のように生活コストを人質にとり安い賃金でも働かざるを得ない状態はなくなる。食べるためであれば月3万円で充分だ。その他の生活コストを考えても月10万円もいらない。家賃さえなくなってしまえば。
そうなればスーパーの品出しなどは誰もやらなくなるので賃金は勝手に上昇する。
非正規でも働く人がいるから非正規で雇用する企業がいてそれゆえ非正規という問題が生まれる。ならば非正規では誰も働かない世界をつくればいい。そう考えると今もっとも問題とされるべきなのは家賃および不動産全般の価格およびその全体に関する利権についてである。
人口減、空き家増加、非正規雇用、貧困、格差など不動産に政治がきりこむべき条件は揃っている。もう政治は食事の品質や安全管理に必要以上のコストを払うのはやめて住環境の改善に努めるべきである。
じゃないとアメリカの西海岸みたいになるよとこの記事を読んで思いました。
というまたまた選挙の考察にはなっていない話でした。