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年収400万円が結婚できない時代~腐ったリアリズムをどうするか~

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年収400万。手取りは恐らく20万円/月ぐらいでしょう。家賃10万とし、食費は6万円ぐらいを見ておきましょう。では奥様が妊娠・出産・育児で働けない状態で、残りの4万円で家族全員分の光熱費、スマホ代、車や保険代、通院費、子どもの教育費や服飾費を捻出することはできるでしょうか。共働きは全期間フルで出来ることなどございません。おそらく5年程度は奥様に空白期間が出来ますし、それ以外も子どもが一定の大きさに成長するまでパートタイム勤務がほぼ前提になるとすると、「全然暮らしていける」とどのように判断できるのでしょう

 

・年収400万が結婚できない時代

年収400万て収入としては中央値よりも上でけっこう余裕のある層だと思うけれど結婚しないほうがいいのか。独身で貯蓄もあるだろうしこういう人が結婚できないならもうほとんど全滅じゃない?

年齢的に適齢期の女性は高望みだというのはまあそうなんだろうけど。

こうなると収入があがる見込みのある若い正社員の男性もしくは年収700万以上の中年男性しか子供生めないとなるのだけど、なんとも地獄めいてるな。こういう正論が正しいと言われているうちはそりゃ少子化も解決しないよと思った。

 

こういう類の文章を読んでいていつも思うのだけど結局のところ核家族化にすべての問題があるような気になってくる。

上の例では家賃10万円として計上してるけどたとえば実家を2世帯住宅にして同居したりっていう選択肢がもうはなっからない。昭和なんか孫からおじいちゃんまでみんな同じ家で暮らしてる世帯もたくさんあったと思う。自分も小さい頃はおじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らしてて3歳ぐらいまではずっとおばあちゃんと一緒に寝ていたけれど

今は結婚生活がもう完全に核家族を前提にパッケージ化してる。そこそこ広い賃貸マンションを借りるか建売りの一軒家をローンで購入するしか選択肢として考えられていない。

実家に暮らすのはどうしても嫌だって人も多いだろうからしょうがないんだけど、格差が広がって一人暮らしを維持することすら困難な人が多い中で結婚生活をも自立させうる人がどれだけいるのかってことをもっと考えたほうがいいのではないだろうか。

 

「子供を育てるには村がいる」っていう古い言葉があったりするけど、どれだけ経済成長しても子育てをアウトソースするには限度があるわけで親が2人いたとしても人手として全然足りていないのにそれでも核家族を前提に結婚が語られていることが奇妙でしょうがない。なんで誰もおかしいと思わないのだろうか。実際、まわりでそんなに収入がなくて結婚している人も家族や実家が近くにあって共助が成立しているなかで暮らしている人がいて夫の収入なんてのは1単位に過ぎない。そんな(ある意味)どうでもいい単位をことさら煽るからおかしなことになる。子育てに限定して言えば男性の年収よりも実家と折り合いがつくか、子育てを手伝ってくれるかどうかのほうがはるかに重要なファクターに見える。すくなくとも自分が確認できる範囲においては。

子供を生まないで2人で暮らすのであれば現在の年収なんてめちゃくちゃどうでもいいものだし。

 

・腐ったリアリズムを持て囃すのをやめてくれ

冒頭で紹介した記事の最後に「現実的」に結婚生活を考えましょうと説いているが、収入や年齢のみが現実として扱われる筆者の現実感がいかに狂っているかをよく表している。結婚市場においての商品として見れば妥当だと思うけれどそれを現実だと言うのはやめてほしい。そういう社会的評価を内面化して苦しんでいる男性はものすごく多いのだから。年収400万が現実的に結婚できないと言うのであれば大多数の男性はじゃあはなっから結婚できないんだなと恋愛を始めないようになるし、実際そうなっているではないか。独身男性の7割はパートナーがいないという記事をこの前見たけれど、冒頭記事のような狂った現実感を現実として流布することはものすごい害悪なんだよ。それが以前からの僕の意見だけど

男性が結婚しないのは経済的理由を内面化しているから - メロンダウト

 

 

いつからこのようなわけのわからないリアリズムを現実と称してもてはやすようになったのだろうか。こういった市場価値で人をはかるのは「ヒトのモノ化」と言っていいものだと思うけれど。年収400万の中年男性は現実的観点からすると子供を望んではいけないなんて本来は爆笑もののヘイトスピーチだけれど結婚市場においては正論としてもてはやされている。そりゃみんな結婚なんてしないよな。特に男性は。そんなふうに商品価値として見られる相手と一生一緒に過ごすなら孤独死したほうがマシだと普通は思うだろう。

そもそもが恋愛を市場にのせるのがものすごく悪どいことではないのかと思えてきた。こういう結婚相談も相談された筆者はものすごく真摯に答えてるつもりなんだろうし、こう答える以外にないのだろう。少なくとも結婚市場における市場価値として査定すれば正しいことを言っているのだけどこういうのは「言ったら終わり」みたいなものを多分に含んでいるんだよ。

「43歳男性は若い女性と結婚できません。あなたの人生はもう限られてます。」なんて単純によく言えるなと思う。言ってることはそのとおりなんだろうけど言ったら差別みたいなものがこの世界にはあってだな。黒人は犯罪率が高いだの女性は生産性が低いだの統計的にそれが正しいことであっても言ったらいけないことが世界にはあるのだよ。女性の生産性にしても社会的立場がないからだし黒人の犯罪率にしても貧困が原因だったりするけど統計的に正しくてもおめえそれを言ったらおしめえよって言説がある。

「43歳男性は生殖能力が低い可能性があります」とかもそうだけどものすごくカジュアルに言われているのが恐怖でしかない。しかもこれ質問箱のものでしょ?

よく知ってる相手で諌める必要があると判断した相手ならともかく他人が他人に言っていいことではないでしょうに。

よくこれだけの差別発言をしたなというふうにしか読めないのだけどなんで誰もつっこまないの?バカなの?死ぬの?

 

他人の人生を断定する人生相談をしてはいけない - メロンダウト