メロンダウト

メロンについて考えるよ

「最後の敗北」

どこかで見たようなツイートを見た

 

 

敗北者とは・・・という話はさておきこういう風に考えてる人は多くいるのだろうなという実感はある。ある種の厭世観を体現しているようなそんな雰囲気は社会全体になんとなくだがあるように感じる。実際、ツイートに3万以上のいいねがついていることもあり共感する人が多くいるのだろう。

ただ、逆説的ではあるが「敗北の要件」を解体していった結果、敗北が前景化していったのではないだろうかという感想も持った。

 

昔で言えばたとえばひきこもりや自閉症の方が敗北者に分類される人々であったように記憶しているが、社会の理解が深まったり自立支援などの制度が整備されたおかげで彼らのことを敗北者と考える人はほとんどいなくなった。いや、いるにはいるだろうけれど社会の趨勢としてひきこもりバッシングを表で発言すれば即座に批判されるのは間違いない。

他にも負け組の条件としては未婚だったり、あるいはセックスワーカーにもスティグマが付与されていたものの、そうした考えも解体されていっている。ジェンダーロールや貞操観念なども同様である。

いずれにせよ、過去、規範とされていたあれこれは自由や多様性の名のもとに解体されていっており、その点では「敗北者の条件」は少なくなってきている。誰が負け組であるかという言論自体が差別なのである。

ただ問題なのはそのように「敗北者の条件」を軒並み解体していった結果、最も残酷なものが残ったのが現在ではないかと危惧してもいる。それが何かと言えば資本である。

上掲ツイートもようするに子供に投資するお金がないことを嘆いており、つまるところ資本が勝ち負けの条件として残っていることを示唆しているように読める。

 

何が勝ちか負けかという価値観を解体していった結果、資本主義だけが残った。以前であればたとえば「愛する人がいれば幸せ」だったり「地域を愛して生きていく」だったり「多くの友人に囲まれて生きる」といった価値基準があったけれど、そのような規範は勝ち負けを形成する原因として棄却され忘却されていった。友達がいない人間はだめなのか、恋人がいない人間はだめなのか、故郷に恩義を感じない人間はだめなのかという話にどうしてもなるため「価値基準自体」を捨てて個人は個人の生きたいように生きるのが良いといった言説が支配的である。

しかしながら、古い価値観が生きていた社会ではその価値観のせいで負けていた人がいたのと同じくらいその価値観によって救われていた人もいたのだろう。あるいはその価値観に縋っていた人もはずだ。それが忘れられているのではないだろうか。

ようするに「お金は稼げないけれど友人や家族に恵まれて幸せだ」という考え方によって自身の不甲斐なさや敗北者としてのスティグマを中和し、お金などよりも大切なものがあるという、外から見れば「負け組」だがその人の中では「勝ち組」という矛盾の中でやりくりしていたのが実情ではないかと思うのである。

 

もちろん「お金がなくても愛があれば幸せ」という考えは今でも残っているが、昔と今で違うのがその思想だったりが部分的にせよ社会で共有できているか否かという点である。

なるほど自分ひとりで「お金よりも愛があれば幸せだ」と考えるのは自由である。だがそれはあなた個人の感想であり考え方でしかないという具合にその価値観が個人に帰属されるのが自由主義の欠点なのである。つまり、以前であれば「お金はないが愛があれば幸せ」という価値観は社会全体で部分的に共有されていたものの、そのような価値観はあなた個人のものですという具合に、なんらの共同性を持ってはいけないとなっているのが現代の条件なのである。

そうした自由、もとい個人完結的な価値観を前提として考えるに、子供とその考えを共有すべきか否かという問いが出てくる。あなたにはあなたの考えがある、しかし子供には子供の考えがある。そう考えた時、その子供にとってあなたがその子供の親である「必要」があるのだろうかという問いが出てくる。すなわち何を大切にするかという価値観は自由へと放り込まれるため、子供にたいしお金よりも愛だということは軽々と言えたものではない。けれど子供には立派な大人になってほしい。そう考えた時、親にできることと言えば良い環境を与えるぐらいしか残ってはいないのだろう。そしてその時に必要となるのが資本であり、そのようにして資本と婚姻の結びつきが強くなっていったのが自由主義社会たる現代なのであろう。

親が子供に「善き事」を教えたり「こう生きなさい」と押し付けることは現代の教典たる自由に反することになる。とりわけ出生に関して言えばその影響が強いことは間違いないように思う。

 

「何も敗北ではない」とした結果、皮肉にも最もどうしようもないものだけが残ったというのはなんとも言えないストーリーである。

 

Beck - Loser (Official Music Video) - YouTube

 

 

 

※全然関係ない話ですが、はてなブログで記事の有料化ができるようになったみたいですが・・・いまのところやるつもりはないです

理由としては、ええと・・・自分の文章がお金が取れる文章だと思っていないからだよ言わせんな恥ずかしい///

やるとしても記事の最後に寄付用として設置するぐらいはやってみようかなと思ってます。またね。