メロンダウト

メロンについて考えるよ

2021-01-01から1年間の記事一覧

コロナは自由に傷をつけるか

一日あたりの感染者数が過去最多を更新している。 デルタ株の感染力が強いこと、緊急事態宣言の効果が薄れていること、国民の恐怖感がなくなっていること、五輪開催との不平等感、これまで自粛してきた飲食店の限界などなど。感染者が増加しうる要素をあげれ…

高速化するコミュニケーション、ファストジャーナリズム、キャンセルカルチャー

以前、「コミュニケーションが高速化している」という記事を書いた。ずいぶん前に書いた記事で、思ったことをそのまま書いただけの雑文ではあるのだが、最近のインターネットを見ていると案外的を外していなかったように思える。 高速道路化するコミュニケー…

吉本隆明と小山田圭吾に見る時代性への私見

吉本隆明『貧困と思想』を読んでいてこんな一節を見つけた (戦中の心理を振り返る段にて)国家のために死ねるかという問いにたいして、国家のためというのは僕には軽すぎて、命と取り換えるところまではいかないのですよ。それなら国家のためというのを自分…

自由の代価、漂白される社会、マッチングアプリ~保守すべき自由とはなんだったのか~

排除アートに類するものはもう何年も前から問題になっていた。開沼博さんが『漂白される社会』を書いたのは2013年。もう何年も前に読んだっきりなので細部までは覚えていないが、著書の中では売春島、ネットカフェ難民、貧困ビジネスなどについて書かれ…

殴り書き

はてな民らしくないことを言えば、オリンピックには特に反対ではなかったのであるが、五輪を取り巻く政治の混乱を見ていると反対したくなるのもよくわかるようになってきた。五輪に反対するのは正常な判断とすら言えるだろう。自分は保守的な側面があり、自…

91年生まれ反省会について

91年生まれ大反省会というツイートが炎上している。91年生まれは何も考えてこなかった(社会運動は危険、フェミニズムはヒステリー)から反省して毒を出していこうといった旨の発言。主語がでかいというのもあるし、社会運動やフェミニズムを見直すこと…

「本当の意味で批判的な態度」について考える

東さんのツイートがはてブにあがっていた だからいまは本当の意味で批判的なのはどういう態度なのか、原理から考えねばならない。リベラルが「意識の高い」主張をしても人々に届かないのは、それこそが体制順応的だとみな見抜いているから。一言でいえば、反…

便所から眺めるフェミニズム

トイアンナさんのnoteを読んでの散文です note.com ラディカルフェミニストについて女性性と連動させて感情優先主義者みたいに語る言説を見ることもあるけれど、先鋭化して狂ってしまうのはフェミニストに限った話ではない。男性だって狂うし、女性だって狂…

反インターネット論者としてのひろゆき

2ちゃんねる創設者のひろゆき(敬称略)がインフルエンサー2位になり、政府に助言したと話題になっている。賠償金云々の問題は脇に置いておくとして、なぜ彼があそこまでウケているのだろうか。 個人的に、ひろゆきは反インターネット論者だと思っている。…

反出生資本主義批判~平等、人材、あるいはコンドームについて~

反出生主義の論点は多岐に渡っており、下手なことを書くと猛烈な批判が飛んできそうではあるものの、現代を象徴するキーワードとして反出生主義は飛びぬけて重要なものだと考えている。 古来からの実存、経済的格差、アーバナイゼイション、能力主義、もっと…

メディアギャップを利用するネトウヨYoutuber

ネトウヨ化した母について書かれた記事(記事後半にリンク有)を読んだのけど、高齢者と現役世代とではメディアにたいする態度が全然違うのだろうね。僕たちはインターネットに書かれてることをそのまま鵜呑みにしてはいけないと教わった世代だけど、高齢者…

正義のありか、主体の消滅、第三者的方法論、あちら側とこちら側

いかにして人は救済されるべきか いかにして加害者は罰せられるべきか いかにして被害者は守られるべきか あらゆる議論に通底しているのがこのような「裁断」となっている。犯罪の被害者になった方、ハラスメントに遭われた方、弱者男性女性、貧困、被災者 …

なぜ僕達は人殺しの顔ができないのか~神の不在と道徳の恣意性及び加工アプリについて~

もう10年前なのか、この記事・・・ goldhead.hatenablog.com 自分が読んだのは3年程前なのでそんなに時間が経っている感じはしないけれど、関連する記事を黄金頭さん本人が書いていた。 「人殺しの顔をしていない、人殺し」が、怖くてならない。 | Books&…

メリトクラシーという果実、コストクラシーという物語

日本における価値基準とはなんなのだろうか。サンデルの本を読んで以降ずっとそんなことを頭の片隅で考えている。 アメリカではメリトクラシーが支配的な価値基準となっていて、オバマの時代にそれが醸成され、カウンターとしてトランプが出てきて、バイデン…

弁当と数と幽霊とインターネットと津田大介氏

キッチンDIVEにて酔っぱらっいが暴れた事件でネット上を中心にソーシャルジャスティスが絶賛発動中だけどいつからかこういう小競り合いにたいして発言すること自体を躊躇うようになった。 緊急事態宣言中の深夜に泥酔しマスクもせず来店、スタッフに因縁をつ…

シラス「ニッポンの展望#8」を視聴したので西田亮介さんについての感想

見た 宮台真司×西田亮介×東浩紀「2021年初夏の陣」【ニッポンの展望 #8】 @miyadai @Ryosuke_Nishida @hazuma #ゲンロン210523 ゲンロン完全中継チャンネル | シラス 個人的に西田さんが言いよどんでいるシーンが印象的だった。ああいう感覚はすごくよくわか…

「この指とめよう」批判撲滅キャンペーンとリベラルの独善性

一般社団法人 「この指とめよう」 指一本で、 人は人を追い込むことができる。 だから、指一本で、 人を救うこともできるはずだ。 いやまあ普通に考えて指一本で人を救うことができるわけないのだけど、こういうのがウケることがリベラルのなんたるかをよく…

「俺たちが無料で書く営みのなかには、もともと、かけがえのない何かが含まれていたのだと思う」ことができるのがすこし羨ましい

タイトルはシロクマさんの記事文中より引用させていただきました p-shirokuma.hatenadiary.com シロクマさんやphaさんがネット社会一番街の住人だとすれば私など末席も良いところではあるけれどブログ歴はそこそこ長いので「書くことがなくなった」にはすこ…

無力な個人による散文~啓蒙主義にたいする所感~

以前、反啓蒙主義みたいなことを書いたけれど、啓蒙されたいと考えてる人の気持ちもわからなくはないんですよね。世界には無限に頭が良い人がいて、その中で自分がどの程度のポジションにいるのかがある程度わかる情報化社会で生きている限り、自らの無力感…

LGBTの政治的配置と弱者男性論の関係、自由の原罪、恋愛の外部性

トイアンナさんの記事を読んだ。さすがにうまく整理されている。個人的に結論には同意できないけど概要としてはかなりわかりやすい。 gendai.ismedia.jp この記事を読んで、現在話題になっているLGBT理解増進法に関して思い出していた。かなり関係が深いニュ…

再現性一般に関する雑文~老害を嫌うこととオウム真理教~

こちらの記事の話 blog.tinect.jp 外的要因を考慮しないで自らの成果は自らの努力の結果であるという意識が老害の条件であると。よくわかる。 こうはならないようにしようという自省的な話としてはよくわかるのだけど、逆に考えるとこの記事の定義で言うとこ…

五輪の終わりと嘘の社会

五輪が中止になるのか強行されるのかが大変話題になっているけれどコロナ以前にもすでに五輪反対の声は根強かったことを思い出す。競技場の建設費及び現場監督者の自殺、エンブレムの問題、東京湾がうんこまみれ、猛暑対策として打ち水、想定よりも膨れ上が…

「女性から教育を奪えば出生率があがる」という駄論について

最近、ツイッターで「女性から教育を奪えば出生率が改善に向かう」的なツイートを見た。少子化に限定して言えば家父長的なモデルを復権して女性を生む機械にすれば多少なり解決に向かうだろうけど・・・そもそもそんな社会で誰も生きていたくないでしょう。…

恐山インターネット日記~SNSは「結局は自己都合の道具」~

blog.goo.ne.jp 「結局は自己都合の道具」 「というのも、仏教によって君が考え出した理屈だろう」 「そう。そして、理屈はすべからく因果律に規定されるから、ぼくのも自己都合の理屈にしかならない」 「すると、いわゆる『真理』とは? どう定義する?」 …

マキャベリストに利用される池江璃花子さん

池江璃花子さん周りの話を見ているとかなりモヤモヤしてしまう。 「人殺しの顔をしろ」とかは黄金頭さんの物語が背景にあったからこその言葉で、単独で使っていい言葉ではない。ある種のルサンチマンが背景に認められるからこそ抑圧的な社会にたいしての言葉…

ロックンロールの消滅、主体の消滅、適応の始まり

「ロックは反権力の象徴であったけれど、それは大きな物語の対立軸として存在していた」といった旨のツイートを見た。定説としては正しいと思うけれど、ロックは反権力のものではないと思っている。確かに反権力といった側面もロックにはあるけれど、それは…

『正欲』感想

朝井リョウさんの『正欲』を読んだ。 マイノリティーとマジョリティー、多様性という言葉がとらえきれない世界、マジョリティーの存在的暴力、重力に負けた人の巨大な諦め、正でもなく性でもない生。爆弾のような小説だった。この社会の正しさの裏で密かに錬…

ぜんぶ資本主義が悪い~『人新世の資本論』を読んでの所感~

斎藤幸平さんの『人新世の資本論』を読んだ。 資本主義は限界を迎えており、格差や気候変動といった問題を資本主義による経済成長によって解決するのは、結論としてもう無理であると書かれていた。トリクルダウンのような無限の経済成長を前提とした格差の解…

インフォームドコレクトネス~深淵としてのインターネット~

ここ数年間、政治的な議論においてたびたび使用されているものにポリティカルコレクトネスがある。「政治的正しさ」といった意味で使われているポリコレであるが、これには致命的な錯誤がある。 「政治的正しさ」は民主主義社会においてそもそも矛盾した言葉…

批判なき政府、批判なき五輪、批判なき藁人形論法

こちらのツイート 政府は「五輪をやりたい」んじゃなくて「中止という決断をしたくない」だけ、というのは慧眼で、もし心の底から一致して五輪をやりたいのなら、五輪前の適当な時期(たぶんGW)に全国に強力なロックダウンをかけてゼロコロナを実現していた…